隼人たちがトイレに向かってから信頼たちは各々自由を庭の中で過ごしていた。 敦はベンチでメモ帳に何かを書いておりさつきは花壇の花をぼんやりと眺めている。 姫は相変わらず電波が入らないかとスマホと格闘しており信頼は出入り口近くで座って空を眺めていた。 灰色の曇り空。...
ゆっくりと歩きながら無事トイレへとたどり着くと隼人は中に入りかなみと麻李野はトイレの前で 座り隼人の帰りを待った。 かなみが口を開く。 「あのね、マリー」 麻李野はかなみに視線を合わせると優しく笑った。 「どうしたの?かなぴょん」 「実はね…」と少し言いづらそうに言葉を詰まらせながらもかなみは続けた。...
庭に入り隼人はベンチに横になり麻李野は心配そうにしながら側に座っている。 敦は先ほど信頼たちにした話をかなみ話すとかなみは驚いた表情をしている。 姫は最初に座っていた場所でスマホをいじる。 再び電波が入らないかを試みている様だが成功はいまだにない。...
廊下を歩いていき階段前へと戻ってくる。 戻ってくる途中に通っていない道を通ったが扉は一つも無く窓もなかった。 変わった家の作りだなと思いながら信頼は先ほどの出来事をスマホの文章にまとめ敦に見せた。 「え、本当かい?ここ多分どこも危険なんだろうなあ」 敦はそう言うと階段の前で座り手帳を取り出しメモをし始める。...
それは赤だった。 何が赤かったかというと冷蔵庫の壁が。 床が。 とにかく真っ赤だった。 その赤は最近濡れたものなのか上から滴がゆっくりと床に落ちていき。 粘り気のある水の音が冷蔵庫の中に響くと同時に嫌な鉄の匂いが厨房に広がる。 「ひっ」と小さな悲鳴をさつきがあげ、姫は「うわぁ…」とかなり引いた声を出す。...
ピンク色の部屋を後にした四人はピンクの部屋の隣の部屋の前に集まる。 次はここを調べようと敦が扉を開けると中は寝室でダブルベッドと三面鏡が目立つ部屋だった。 部屋の中に入り各々気になる場所を触る。 敦は棚。姫はベッドの下。さつきは三面鏡。信頼はベッドの周りを見て回る。 しかしこれと言って気になるものはなく四人は寝室を後にした。...
時間は少し戻りかなみたちが別の廊下へと向かって歩いていった後、敦たちも二階の探索に行く 事になった。 敦を先頭に姫サツキ、そして最後に信頼の順番で赤い絨毯が綺麗に敷かれている階段を上って行く。 この階段は玄関の前にあるからかとても大きく見栄えもよかったが少し段数が多く上るのがやや面倒...
敦たちと離れ一階を探索することになった かなみ、隼人、麻李野の三人は俺島の事を話しながら廊下を歩いていた。 今開催されているイベントの攻略情報。 月にいくらほど課金をしているのか。 一日のプレイ時間はどのくらいか。 三人はただ長く続く廊下を歩きながら飽きるまで話し続けた。 そして全員が感じたこの長すぎる廊下。...
1 空間 目を開くと目の前には暗い色をした曇り空が広がっており信頼はゆっくりと何故か倒れていた身体を起こすと周りを見渡した。 周りは森なのか木々に囲まれているが自分のいる場所はコンクリートの地面で少し先には大きな門とその中にあるであろう屋敷のようなものが見えた。 先ほどの喫茶店はどこに行ったのか。...
8月のとある日の朝。 信頼はスマホと使い込まれた小さな財布をズボンにしまうと玄関の扉を開ける。時刻は朝の9時少し前。 まだ大学は夏休みの最中で出かける予定など一切なかった信頼だが暇つぶしにあの住所でも探しに散歩でもしようと外に出ることを決めた。...